ブログノベル『スペースエイト』の設定集です。

亜空間航行には複雑な計算が必要となる

亜空間

亜空間とは


亜空間、サブスペース


通常の実態空間に並列して存在する亜空間(サブスペース)は、いたるところに存在し、通常空間とはまた異なる物理法則の下、空間を縫うように走査している。
それは異なる世界ではあっても全く違う世界ではない。物理法則が違うのだ。

現実空間と亜空間


我々が生活している通常空間でも、時間や距離は一定ではないことが知られるようになってきている。
膨張し続ける宇宙の中心と橋では時間の流れは異なっており、そう考えないと宇宙の端にあると思われる恒星等が速い動きをする説明がつかない。
また、ブラックホール等巨大重力の下では空間が歪み、時の流れる速度すら遅らせていることが知られている。亜空間内部ではそれとは異なるが、結果として同じように距離と時間の流れが違うのだ。

例示


例えば一キロメートルの通常空間とそれに並列した亜空間があるとする。その亜空間の特性は通常空間の一千倍距離を持つとする。
通常空間を一キロメートル5分で走る事の出来る人間が、亜空間を一メートル0.3秒で走って、その瞬間に通常空間に戻ったならば、結果的に一キロメートル進んだことになる。
また、一千分の一時間を持つ亜空間であったならば、亜空間を一キロメートル5分で走って通常空間に戻ったならば、0.3秒しか経過していなかったことになる。

亜空間には固有の属性がある


亜空間属性は様々で、距離属性も時間属性も通常空間とは異なっている。
それがどういう特性を持っているのかは、亜空間ソナーを使って亜空間内部をサンプリング調査して求めるのだが、この計算式だけでも相当なものになる。

そして、自分の行きたい場所に一直線に向かう都合の良い亜空間を見つけられればよいのだが、そうもいかない場合が多い。

亜空間航行の発展とクラス分け


亜空間航行はGenerationによって分類され、それぞれ1G、2Gといった呼び方がされている

1G亜空間航行


1G(ファーストジェネレーション)亜空間航行。単に1G(いちじー)と呼ばれることもある。

黎明期の亜空間航行で、一旦亜空間に入ってある地点で出て、また別の亜空間に入ってという事を繰り返すものである。
亜空間航法は亜空間への侵入、退出の際に大きなエネルギーを要し、船体に負担をかける。

2G亜空間航行


2G(セカンドジェネレーション)亜空間航行。単に2G(にじー)と呼ばれることもある。


1Gの時と異なり、一旦通常空間に出たりせず、亜空間から亜空間に直接ジャンプするという航法。
誰が考えたのかはわからないし、速度は確かに早くなり、結果として遠くまで行くことが出来るようにはなったが、エネルギーの消費と戦隊への負荷は、1Gの時と比べ物にならないほど大きくなった。これには船体の大型化、重装甲化で対応していた。


3G亜空間航行


3G(サードジェネレーション)亜空間航行。単に3G(さんじー)と呼ばれることもある。


偶然にも発見されたメテオリウム粒子という、通常空間では全くと言っていいほど役に立たない無害の粒子が、亜空間突入時の衝撃を劇的に減少させることが解った。


3G亜空間航行が実用化される経緯


これには空間折り曲げ式ワープ航法の実験データーが意外な形で花開いた。

度重なる失敗を繰り返し、情けない話だが一つの恒星系を吹っ飛ばし、空間断裂まで生じさせるほどの大失敗であった空間折り曲げ式ワープ航法は、大金を投じてしまったという理由で役人が引くに引かれない有様であった。
先の空間断裂事故で瀕死の重装を負った科学者が十数年後に突如目覚めた時、唐突に神に何かの式を書き始めた。それは空間折り曲げ式ワープ航法の、通常空間と通常空間ではなく、同一世界ではない異なる亜空間と亜空間を、瞬間だけ完全に結びつける公式だった。
通常空間を折り曲げる理論の研究が違った発想で生かされることになった。
並行し、部分的に接触している亜空間同士を、つまりもともと異なる亜空間を介してくっついているものを、接触面の合計指数から遠く離れた亜空間同士の接触した合計指数を一致するようにつなぎ合わせることで、あたかも空間を折り曲げたかのように解釈して扱って、完全に一致させる瞬間を算出し、完全に結びついた状態に持ってくる、そういうものだ。


計算と実用



空間断裂ならぬ亜空間断裂が起きればどうなるのか。そんなもの、度重なる失敗で追い詰められた役人には関係のない事だった。
空間折り曲げ式ワープの失敗を払拭し、逆転したい役人は、未完成の3G亜空間航法の実験に踏み切る決断をした。
こういった際の歴史的経緯に従い、各地で大規模なデモが起り、大物政治家の票田まで怪しくなってきた。
デモは大規模化が避けられないところまで来ていたが、意外な方面から鎮静化した。
ある科学者が無能な責任者である役人のリストを挙げ、それらの分限免職と懲戒査問会の開催と引き換えに、解決策を示したのだ。
今や宇宙船のエネルギー源として主力の物質反物質理論を用いて、メテオリウム粒子を物質反転させることで、亜空間と亜空間の接触部分を繋げ、固定化する技術を提示したのだ。

技術の発展〜〜亜空間ハイウエイ構想

その技術で、過去に亜空間航行をした宇宙船のたどった軌跡から割り出した、亜空間航路同士を接合させる、大規模な亜空間の工事が始まった。亜空間ハイウエイ構想だ。
聖域と聖域、恒星と恒星を繋ぐ重要なルートは、その時点で発見されている航路の中で最も安全で、かつ最速と思われる亜空間航路結合体である亜空間ハイウエイで結ばれていった。

4G亜空間航路


4G(フォースジェネレーション)亜空間航行。まだ実用化されていない。

その構想は、現在の技術では通常空間と亜空間との境目を開けたままにしておくことはできないが、その通常空間と亜空間との出入り口を直径数キロメートルのジャンプゲートで半固定化するという計画であるようだ。
通常空間の地上道路のハイウエイ料金所に戻っていくような誤解を受けるかもしれないが、入出にかかるエネルギーと船体の負荷を軽減できるだけではなく、目的地付近、出入りのためのゲートが二つ解れば、その二地点間においては計算が極度に少なくて済むのである。
なお、ジャンプゲートは常に開きっぱなしではなく、使用時以外は、電磁バリアーの様なもので閉じておく計画だ。
人工ワームホールという名称が提案されたが、審議の上却下された。

メジャーな亜空間ハイウエイがない地域では今でも1Gや2Gが使われる


亜空間通信

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